1 商品商標と役務商標
我が国では、商品商標と役務商標(サービスマーク)が登録可能です。役務商標は平成3年の法改正によって登録可能となりましたが、それまでは、役務であっても商品商標として登録する例が多かったようです。
商品とは、一般的に、商取引の目的となる物、特に動産のことをいうとされています。
一方、役務とは、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものをいうとされています。すなわち、形のないサービスであっても、商取引の目的となるようなものであれば役務として、その名称は商標登録の対象となります。
そのような役務としては、例えば、飲食業、宿泊業、広告業、娯楽業、金融・保険業、建設業、電気通信業、輸送業、加工業、教育業などで提供されるようなサービスが挙げられます。
第2条第1項
この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
2 商品と役務の類似性
商標登録出願の際には、商品や役務を指定する必要があります。商標法上、この二つは別個のものですが、現実的には消費者が出所の同一性について混同することがありえます。
例えば、清涼飲料水の販売業者と、これをお店で提供する業者のように、商品とサービスに同一の商標が認めた場合には、出所の同一性について混同が生じる可能性があるでしょう。よって、商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあり、また、役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるとされています(商標法第2条第6項)。
このように、商法登録出願審査では、商品と役務との間で類似性判断をされることがあることに留意すべきでしょう。
第2条第6項
この法律において、商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし、役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする。
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