クリエータ
クリエータ
ブログに載せる写真はフリー素材の方が安心ですよね?
弁護士
弁護士
それが本当のフリー素材であればそうなのですけどね。著作権を確認するのが無難です。
クリエータ
クリエータ
え~?フリー素材だからフリーに使えるわけじゃないの?
弁護士
弁護士
フリー素材だと思って使ったら、実は著作権者の許諾がない場合もあるので要注意です。

フリー素材にご用心

ウェブサイトやブログに写真やイラストなどを使うのは著作権に気を遣いますよね。そこでいわゆる「フリー素材」を使うのはどうでしょうか。インターネットには「無料画像」「フリー素材」と称する画像が多く掲載されており、フリー素材を集めたサイトもあります。

著作者が本当に著作権放棄利用許諾をしている場合には、このような「フリー素材」を使用することについて問題はありません。

しかし「フリー素材」で検索して得た画像を用いて、著作権者から利用料を請求される事件が後を絶ちません。これは、本当に権原のある著作者から利用許諾をされたものであるか確認を怠り、出自の怪しい素材を安易に自身のウェブサイトやブログ等で使用してしまったからに他なりません。

仮に「フリー素材」と表示されていても、実は無権原者がアップロードしたもので著作権者の利用許諾のないことがあります。そのような素材をブログなどで使用すると、真の著作権者の複製権、公衆送信権、著作者人格権などを侵害することになり、掲載の差し止め、損害賠償請求等の責任を負うことになりかねません。

「フリー素材」を使用する場合には、真正な著作者が利用許諾をしたものか否かを確認するようにしましょう。ちゃんとしたフリー素材サイトであれば著作権者を確認しており、その旨の表示があります。

ただし、現実的には素材の真の著作権者が誰であるかを自分で確認するのはかなり困難です。ウェブ上の記載を信用するしかありませんので、結局は信頼できるサイトからダウンロードするしかありません。

ストックフォトの仕組み

ストックフォトサービスとは、コンテンツ提供会社が写真の撮影者、イラストの作成者等の著作者より著作権の利用許諾または譲渡を受け、ロイヤリティフリー素材としてこれを利用者に利用させるサービスです。クリエーターにとっては自身の作品を提供することによって収入が得られ、利用者にとっては著作権処理のされた写真を安心して利用できるとして、近年では一般的になってきました。

ストックフォトサービスには有償のものと、無償のものがあります。無償のストックフォトサービスといっても、数百万点の素材が提供されている、内容的には有償のサービスと遜色ないものもあります。

ただし、有償のサービスと無償のサービスでは、著作権の処理に違いがあったりしますので、要注意です。

ストックフォトはトラブルフリー?

ストックフォトサービスを使っている限り、著作権トラブルからは逃れられるでしょうか。仮に著作権者から利用許諾を得ていない素材がストックフォトサービスに無断アップロードされており、これを自身のウェブサイトに使用した場合を考えてみます。

著作者はストックフォトサービス提供者に対し損害賠償請求等をすることは可能ですが、その素材を使用している者にも複製権、公衆送信権侵害などとして損害賠償請求等をすることができます。使用者としては、そのような素材を配信したストックフォト提供者に責任があると思うでしょうが、ストックフォト提供者も使用者も著作権侵害をしていることにかわりない以上、どちらに対して請求するのも著作権者の自由です。

そして、無償のストックフォトサービスの場合、提供している素材の著作権を確認している旨の記載はあるにしても、著作権の保証がされていないことにご注意ください。無償のサービスの性質上当然かもしれませんが、著作権トラブルは使用者の自己責任となり、ストックフォトサービス会社に補償してもらうことは規約上できません。

すなわち、無償のストックフォトサービスが提供する素材を使用したことによって著作権侵害として訴えられた場合には、自身で解決する必要があります。

なお、ストックフォトサービスの素材には著作権を確認している旨の表示がされていることが多いので、それを信じて素材をダウンロードして使用した人は「著作権侵害の故意・過失がなかった」ため損害賠償責任を負わない旨の主張をすることは可能でしょう。

一方で、有償のストックフォトサービスの場合には、著作権について表明・保証がされている場合もあります。例えば、ゲッティ・イメージズ・セールス・ジャパン合同会社が提供するサービスiStockでは次のように規定されています。

iStockコンテンツライセンス契約

9. 表明および保証。

iStockは、以下を表明および保証します。

a. 非侵害の保証。コンテンツが「エディトリアル専用」と指定されている場合を除き、本契約を遵守し、iStockが提供するままの形でのコンテンツの使用は、著作権、人格権、商標権またはその他の知的財産権を侵害することはなく、プライバシーまたはパブリシティ権を侵害することはなく、かつ、本契約で認められた方法でコンテンツを使用するために必要とされるモデルリリースおよび(または)プロパティリリースはすべて取得済みであること。なお、コンテンツに行われた編集に対しては、お客様が単独で責任を負うものとします(iStockの編集用ツールを用いたか、またはほかのツールを用いたかにかかわらず)。

同社では上記表明保証違反の場合には、顧客を免責するとしています。

10. 補償義務および責任の制限。
(略)

b. iStockによるお客様の補償。iStockは、コンテンツが本契約に従ってのみ使用され、かつ、お客様がその他本契約に違反していないことを条件として、上記第9(a)項で定められた保証の違反に対するお客様の唯一かつ排他的な救済として、iStockによる上記第9(a)項の違反または違反の旨の申立てにより、またはそれに関連して生じるすべての損害、責任、費用(弁護士報酬をはじめとする合理的な訴訟費用を含む)について、本第10項の下、お客様、お客様の親会社、子会社および関連会社、それぞれの役員、取締役、および従業員を防御し、補償し、免責することに同意するものとします。本補償義務は、お客様がコンテンツを修正した、またはお客様が使用するコンテンツのコンテキストを修正したことによって生じる、または修正の結果である損害、経費、または損失範囲には適用されません。お客様がコンテンツを継続して使用した場合も適用されません。

そのような保証のないストックフォトサービスもあります。例えば、株式会社アマナイメージズの提供するストックフォトサービスでは、著作権については会社は免責されるとされています。

第7条(免責事項)

当社は、コンテンツに関する品質管理には、十分留意しておりますが、以下のいずれも保証せず、かつ以下のいずれかの事由に起因して利用者その他第三者に発生した紛争および損害について、一切の責任を負わないものとします。
(略)

2)利用者は、コンテンツに関する工業所有権、ノウハウ、プログラム、著作権、商標権および意匠権などの権利処理に関し、自己の責任において確認するものとし、利用者がこれを怠ったことにより生じた損害、または、第三者との間に発生した紛争。
(略)

このように、有償のサービスであっても著作権保証については色々な方針があるようですので、契約する際は費用やコンテンツの豊富さだけではなく、規約をよく検討しておきましょう。

被写体の著作権や肖像権

写真の場合、被写体にも著作権や肖像権がある場合があります。そのような場合は、写真の著作権とは別に、被写体の著作権、肖像権を処理する必要があります。

たとえば、写真に他人の書画が綺麗に(本質的特徴を感得できるような態様で)映り込んでいるような場合、その書画の著作権を侵害することがあります。

ストックフォトサービスの場合、有償、無償のサービスを問わず、被写体より許諾を受けているものもあります。また、有償のストックフォトサービスの場合には、被写体とのトラブルについては補償(顧客を免責)していることが多いですので、規約を確認しておきましょう。

なお、被写体の著作権、肖像権については、次の記事もご覧下さい。

アマナイメージズ事件(東地判H27年4月15日)

フリー素材だと思ってウェブサイトに使用した写真が実はフリー素材でなく、著作権者から損害賠償を請求された事件をご紹介します。

本件は、フォトストックサービスを提供する会社(アマナイメージズ)と、写真の著作権者である原告らが、ウェブサイトに無断で写真を掲載した従業員Eを雇用する被告に対し、著作権侵害等に基づく損害賠償請求及び不当利得返還請求をした事件です。

裁判所は

「被告は、フリーサイトから写真等を入手する際に、識別情報のない著作物についてまで権利関係の調査を要するとすれば、表現の自由(憲法21条)が害されるとし、警告を受けて削除すれば足りるかのような主張をする。

しかし、仮に、E(著者注:被告従業員)が本件写真をフリーサイトから入手したものだとしても、識別情報や権利関係の不明な著作物の利用を控えるべきことは、著作権等を侵害する可能性がある以上当然であるし、警告を受けて削除しただけで、直ちに責任を免れると解すべき理由もない。」
東地判平成27年4月15日・平成26(ワ)24391

として、Eの使用者である被告について、使用者責任に基づく損害賠償請求を認めました。

本件では、画像素材を使用するにあたって、著作権等の権利関係について調査・確認する義務がある旨が判示されています。つまりフリー素材としてダウンロードしたので「著作権侵害があるとは知らなかった」「適法だと思っていた」という言い訳は通用しないということですね。

クリエータ
クリエータ
ストックフォトも色々なんですね。
弁護士
弁護士
費用だけではなく、規約を確認しておくのが無難ですよ。